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映画館の音はスピーカーではなく「箱」が重要!?映画館の構造とは。

2016年09月10日 01:29

映画館の「音の良さ」に対する関心がうれしい事に高まっています。現状ではシネマシティの極上系上映(kic real sound)とイオンシネマ海老名のTHX、イオンシネマ幕張新都心を筆頭とするULTIRA、各映画館で展開しているIMAXが特に関心の高いものであると言えるでしょう。

映画館の音のよさの目安としてスピーカーが挙げられると思います。4way、5way、6wayと言った複数の帯域に分波して出力している、ライブ用のラインアレイを導入している、サラウンドに大型モデルを導入している、サブウーハーの設置数が多いなどいう具合に様々なスピーカーを様々な方法で使っています。確かに音の出口であるスピーカーは音を鳴らす上で重要な役割を持っていますが、スピーカー以上に音の良さに影響を与えるのが箱、つまり劇場自体の造りなのです。今回は映画館の造りと音について書いていきます。


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映画館に足を運ぶ人は恐らく映画館の劇場内、シアターについてそこまで注目している人は多くないかと思います。しかし劇場の構造こそが最も重要なポイントとなります。


○家でも出来る簡単な実験。箱の違いを確かめてみよう。

スマホやラジカセなど持ち運びできる「音源」があれば確認出来ます。和室と洋室とでも音は違います。畳の和室は畳がある為音を吸収しやすいので音の響きが少なくすっきり聞こえます。フローリングの洋室だと反射が多く響きが豊かです。分かりやすい場所でお風呂場を。締め切った状態だととても音が響き、余韻が残ります。お風呂場では壁が水をはじく様タイル貼り等になっているので非常に音が響きます。音が響き、ちょっと音が大きくなったような、そんな印象があると思います。

同じ音源でもこれだけ音が変わるのです。体育館などの響きやすい大きな空間でラジカセをちょっと大きめに鳴らすとラジカセとは思えないくらいの豊かな音になるのです。その分部屋で聞くほどの音の明瞭さが失われます。


○多くの映画館はどんな構造?

現在の主流であるシネコン。シネコンの多くは天井、床、壁の全てを吸音構造としています。特に壁面はグラスウールを敷き詰めた非常に強力な吸音です。壁に触れるとゴワッとかワサッとした感触があると思います。響きやすい空間では余計な響きが出てしまいる素の音を邪魔してしまうので吸音して余計な響きを消し、スピーカーから出た音を客席にストレートに伝えるのを目的としています。しかしグラスウールは高域はよく吸収するが低音は吸収しにくいという特性がある為音が重くなりやすい(低音のエネルギーが残りやすい)という欠点もあります。

5.1chの音声が標準的となった今ではサラウンド音を正確に伝えるのに吸音を徹底していますが昔、モノラルやステレオの音だった時代は反射しやすい、響きの多い劇場が多かったです。再生チャンネルが少なく、広がりに乏しくなるためあえて響きやすい空間にしている訳ですね。


調整やスピーカーの違いなどはありますが、こういったシネコンの場合高い水準ではあっても能力は平均的です。部屋の実験を例に挙げればラジカセの機種が変わっても音が違っても箱の音響の支配力が強いので似たような音色になるのです。


○ほとんどは見えないが見えるこだわりもある

ほとんどの映画館は壁の中に何が仕込まれているかなんて事は全くわかりません。はたから見れば前から後ろまで真っ黒い壁でも中に反射材や拡散材が入っている場合もあります。ただ一部の映画館には音の為の仕掛けが見えているものもあります。

シネプレックスのHDCSは後壁に楔型の吸音材を敷き詰めています。増設したウーハーの強烈な低音を受け止めるもので迫力を重視したものですね。

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T-JOY系のメイン館では後壁が山形になっています。音を拡散しているものと思われます。T-JOY系は密度感ある前に出る音という印象がありますね。

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MOVIX系では側面の壁に反射、拡散を目的にしていると思われる三角柱状のものが。ライティングも兼ねていますね。

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なんばパークスシネマではレンガを使用した拡散材が側面に、後壁にはチューブ状の拡散材が配置されています。大型の劇場とは思えない音像の締まった非常に素晴らしい音でした。

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リニューアル時に追加されたシネマサンシャイン平和島・アメイジングシアターのポール型反射材。次世代サウンドの効果を高めているようです。

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○「音響」の優れた箱を持つイオンシネマ海老名、シネマシティの存在

では音のよい映画館の筆頭であるイオンシネマ海老名のスクリーン7・THX劇場とシネマシティのkic real sound。以前の記事を見ていただいた方にはその特殊な構造を知ってもらえていると思います。↓

イオンシネマ海老名 スクリーン7 THX劇場はなぜすごい?

シネマシティのkicリアルサウンド、kicリアルサウンドアナログって?

イオンシネマ海老名は劇場の形も特殊であり並行面がありません。壁面も反射部分が多く、後方に音を集め少ないエリアでも効率よく吸音を効かせています。音は長年鳴らしこまれた柔らかなJBLサウンド、無数のサラウンドスピーカーが生む空間、フロントとの自然な繋がり、バランスのよい音に豊かな響きがあります。

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対するシネマシティのkic real soundは壁面に反射させた音を天井に集めて天井で吸音するというここでしか見られない特殊な構造になっています。非常に響きの多い空間ですがMeyer soundの強力な直進性のあるスピーカーを使う事で響きが多く輪郭が丸い音でも明瞭に聞こえる独自の音になっています。サラウンド音場の広がりや強烈な低音も独自のもの。

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○見えなくとも様々な仕掛けが隠されていたQ-AXシネマ。

以前の記事を見ていただいた方にはお分かりかと思いますがこういった「箱」に物凄いお金をかけていたのがQ-AXシネマです。

今は無き最高上映品質の映画館・Q-AXシネマ(渋谷シアターTSUTAYA)その3 シアター1

見た目では拡散効果をもつせり出した柱しか目につくものはありません。しかしながら反射、吸音、拡散の全てが高いレベルで融合した理想的な空間、浮き床構造による完ぺきな遮音、使用されているのは特別な物ではない、一般的な映画館でも使用されているモデルです。この「音響の優れた空間」があるからこそ生まれる「いい音」なのです。音の良し悪しは好みが分かれます。調整ひとつでも音は変わります。でも断言出来るのはQ-AXシネマの「箱」は日本で最も抜きん出た性能であったという事です。

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○劇場案内では箱について書かれていないのはなぜ?

10スクリーン以上あるシネコンでは普通に造っても途方もない金額になります。映画館はシアターだけではなくロビーや通路等にも莫大なお金がかかり、維持費もかかります。そんな中で箱に巨額の投資をしても元が取れると言うものでもないのです。

「映画館初となる強力なスピーカーを1000万円かけて導入!」

「スタジオクオリティの音を生み出す反射、吸音、拡散をコントロールした劇場設計!」

前者の方が強いですね。

実際に箱にとてつもないお金をつぎ込んで高性能な劇場が完成してもお客にその素晴らしさをアピールするのが難しいのです。現にシネマシティの数百万のウーハーと6000万のラインアレイに対するコメントは多いですが天井吸音による特殊構造についてはなかなか理解されません。通常のグラスウールの敷き詰められた映画館で同型のスピーカーを導入すると全く聞けたものではない音になるのではないでしょうか。



○本当に素晴らしい音の映画館は?

劇場構造なんて調べても見ても分からない、ネット上には聞いたことのある映画館しかない・・・じゃあ本当にいい、隠れた映画館はどうやって見分ければいいのか。非常に簡単です。自分が映画を見に行った時にここの音はいいぞ!と思える映画館がその人にとってのベストチョイスとなるのです。中にはミニシアターでも非常に凝った造りの劇場もあります。作品の音の良し悪しにもよりますが○○を導入しているからいい!という情報にとらわれず、自分の耳を信用するのが一番いいということですね。音だけでなく、映写のよい映画館、スクリーンの大きな映画館、椅子のよい映画館、割引サービスの優れた映画館とネットの情報に上がっていないだけでよい映画館はたくさんあるのです。

3大シネコンが激戦を繰り広げる中、優れた映写と音響をもつ新宿のKsシネマ。
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映画で同じものを何度も見るのは無理だという人が多いでしょう。なので予告編をうまく比較して映画館の違いを見るのもいいと思います。映画なんてどこで見ても同じ!と思わずにいろいろ比較してみるのがいいでしょう。

次回は性能には全く関係ない、映画館の内装やデザインといった見た目について個人的な好みと偏見で書きたいと思います。
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