イオンシネマ海老名 スクリーン7 THX劇場はなぜすごい?

2016年05月25日 00:54

スターウォーズ・エピソード7で再び脚光を浴びたイオンシネマ海老名のスクリーン7。以前THXについての記事を書きましたがTHXだからと言って全てが最上位の劇場という事にはなりません。詳しい事はTHXについて書いた記事を見てもらえれば分かるかと思います。↓

THX認定の映画館って?

今回はイオンシネマ海老名スクリーン7、THX劇場が凄い理由を書きたいと思います。


ワーナーマイカル時代のスクリーン7への看板。
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mixiにも似た日記を書いているので重複する所があるかもしれません。
○イオンシネマ海老名とは?

現在はイオンシネマ海老名という名前ですが元々はワーナーマイカルシネマズ海老名という劇場でした。ワーナーマイカルシネマズ海老名は1993年、実に23年も前にオープンした日本初のアメリカンスタイルのシネマコンプレックス(複合映画館)なのです。既に閉館となった姉妹館ワーナーマイカルシネマズ東岸和田と共に日本に現れたシネマコンプレックス。ロードショー館スタイルの映画館がほとんどだった当初突然現れた大スクリーン、スタジアム傾斜座席、デジタル立体音響装備、ひとつの施設に多くのスクリーンが並ぶ巨大な映画館は衝撃だったでしょう。日本のシネコンの基礎基盤を作ったのがこのワーナーマイカルシネマズ海老名と東岸和田だったのです。この2館のメインスクリーンには商業映画館では初となるTHX認定の劇場がありました。海老名のスクリーン7がそうです。


ワーナー時代、名称はイオンではなくサティでした。

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ワーナーと言えば青に黄色の文字、そしてルーニ―のキャラクターの賑やかな雰囲気ですね。劇場入り口やコンセ、トイレの表示などの細かいところにまでキャラクターがいる楽しい演出でしたが、イオンシネマになってからはルーニ―のキャラクターは全て撤去されました。寂しいですが仕方がないですね。

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ちなみに地元茨城のワーナーマイカルシネマズ守谷には巨大バッグスバニーがあり「君にお勧めの映画があるんだけどどうだい!?」と語りかけてきました。今では彼の出迎えがないのがちょっとさみしいですね。

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さてちょっと話がずれましたが23年も前、しかも日本で最も古いシネコンではありますがロビーや通路は定期的に改装され現在でも通用するデザインになっています。

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改装しているとは言えど23年前からある劇場のロビーが現在でも通用するのがすごいですね。

THX認定館はロビーの上の階に独立して建てられています。これは他の劇場や外部の騒音をカットするための措置だと思われます。


今ではなくなってしまいましたがワーナー時代はこんなポスターがありました。
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THE AUDIENCE IS HEARINGというのは観客は(静寂を)聞いているという意味です。劇場内の無音時の静寂度の高さを感じられる一文です。ホートンとTHXのコラボポスターですがこの頃のTHXトレーラーもHORTONでした。


○スクリーン7

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約15m前後の巨大スクリーン、完ぺきなスタジアム傾斜、これが1993年にいきなり現れたのです。ぱっと見ただけでデザイン等の違いはあれど現代のシネコンのスクリーンと大きな違いが見られません。1993年の時点で映画館の形は既に完成系があったわけですね。

日本で初のシネコンでありTHXの認定劇場ということでその中身も今では考えられないほどに力の入った物となっています。ここに海老名スクリーン7が他の劇場とは大きく異なる部分になります。

○並行面が存在しない理想的な空間

オーディオを嗜まれている方ならご存知だと思いますが平行な面がある場合定在波というものが発生します。並行面同士で音が跳ね返りあうことで音質を著しく劣化させるものですが、この劇場には並行面が存在しません。

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座席表を見ると後方に向かうにつれて客席が広がっているのが分かります。劇場はこの座席表に合わせた形の10角形(それ以上かもしれないです)になっています。後方の壁が並行になっていますがスクリーン7はカーブドスクリーンになっています。スクリーン後方もそれに合わせた形状に湾曲している為ここにも並行面は存在しません。

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ちょっと分かりにくいかもしれませんが天井もスクリーンから後方に向けて緩やかに傾斜があります。2枚目の写真だとよくわかりますが後壁付近ではここまで天井が近い位置にまで下がっています。壁面全てから天井に至るまで並行面が存在しない事が分かるかと思います。
またこのように後方に向かい収束していく形の天井の形状の場合スクリーンの体感サイズを大きく感じさせる効果もあるように思えます。

○反射、拡散、吸音

現在の映画館のほとんどはグラスウールによる吸音を全体に施した劇場になっています。これは劇場側が作品に対して余計な音を乗せない用にするためですが高域を吸収しやすく低域は残りやすい為重たい音になりやすくなります。(迫力を出す為の手段という意味合いもあります。)
海老名スクリーン7は後方に向かって徐々に両壁が広がり、後ろ壁付近で折り返しますが壁が広がるH列付近まではグラスウールではなく硬い壁になっています。

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手前4つのサラウンドスピーカー部分は反射構造、5個目の向きが奥を向いている壁面から後壁は吸音壁になっています。実際に軽く手で触れると分かりますが後壁はグラスウールのわさっとした触感、反射部分はコツンとした触感になっています。

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二つ上の写真を合わせて見ると分かりやすいですが座席位置に対して耳の高さ付近は固い壁になっているのも大きなポイントです。カーテン状の壁面の下の青い壁部分は反射面となっていて吸音していません。

またこのカーテン状の壁面もつややかな触り心地になっていて吸音に加え多少の反射、拡散効果があるものと思われます。また折り返しがデザイン的な演出にもなっています。

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この前方約3分の2反射・拡散、後方背面吸音の構造、どこかで似たものを見たことがないでしょうか?この吸音面を天井側にそっくり移動すると・・・

シネマツーの天井吸音に非常に似ています。もちろん物としては別物ですが吸音面積を限定し反射・拡散を取り入れてより自然な音を実現しようとしているこだわりが見られますね。



○ハイバックシートではない座席

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現在のシネコンはほぼ全てがハイバックシートになっています。前の座席の人の頭が見える、気になると映像に集中しにくいという点、また頭をつけられることでゆったりと鑑賞出来るメリットがありますが耳元付近に強力な吸音材があるようなものですし完全に頭が隠れてしまう事で後方の音を阻害してしまいサラウンドの音がきちんと伝わらないという致命的な問題もあるのです。
海老名スクリーン7では時代もあり頭ひとつ完全に出る高さの背もたれになっています。鑑賞時多少気になる人もいるかも知れませんがスタジアム傾斜は十分にあるので問題ないと思います。(ガルパン見た時に「申し訳ないですがもう少し深く座ってもらえますか・・・?と言われましたが・・・身長は約180程」)新しい劇場程体験しにくい広がりのあるサラウンドを聞けるかと思います。


○空調など反射要素が少ない天井
一般的な映画館は天井に空調を設置しています。またフレームに吸音板をはめ込んでいる物がほとんどでフレームがスクリーンの光りに反射し目につきやすくなっています。

一般的な劇場の天井。跳ね返った光が反射して目につきやすい。

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海老名スクリーン7は天井に空調がありません。照明のみでしかも天井もフレームがなく反射の要因がほぼありません。容量を落としているので写真だと分かりにくいですが劇場中央に火災時煙を遮る為のガラスの仕切りがありますがスターウォーズ上映時以降黒い布がかけられ影となりより映像に集中しやすくなっています。

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○両壁から十分な距離があり、絶妙な高さのスクリーン位置

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より大きな画面が良いとされる今は天井、床、両壁までいっぱいのスクリーンがメイン館に多く導入されています。それぞれの壁に近くなるという事は壁からの光りの照り返し、壁自体の反射が映像に対する集中度の低下や映像品質の低下の原因となります。音響麺でもスピーカーの反射音の影響を受けやすくなるデメリットがあります。
海老名スクリーン7は空調がスクリーン両サイドと両壁上方にあります。

天井付近にある空調
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スクリーン両サイドにある空調ですがダーク系の色である為上映時は全く気になりません。材質は硬質の石材のような物になっています。スクリーン左右に十分な距離がある為に初期反射の影響が少なくなっている上に映像の照り返しもほぼ皆無です。スクリーン周りにはオレンジ色の緞帳がありますが壁反射の光りがほぼない為気になりません。

スクリーン高さは天井、床からの距離がほぼ同じです。今のシネコンではやや上にスクリーン位置がある劇場が多いですがスクリーン位置がほぼ前方の中心にある事で最前列でも字幕の視線移動が少ない、後方でも見下ろし過ぎない絶妙な位置になります。スクリーンに正対する座席番号13から36では後方に向けて収束する劇場構造と合わせてかなりの体感サイズになると思います。


○切れなし、ほぼ100%の映写

海老名スクリーン7はカーブドスクリーンです。今までの写真をみて分かるように湾曲しているスクリーンです。このタイプのスクリーンの上下左右いっぱいに映像が映っている場合特に下部の映像が大きく切れています。上方から角度をつけて映像が投射されるため、フラットスクリーンでもカーブドスクリーンでも多少映像が歪みます。(新宿バルト9スクリーン8が映像の色合い、ピント、画角と完ぺきな映写でした。)スクリーンに余白があるのをよしとしない映画館もありますし、お客から見てもスクリーンいっぱいに映像が映っていた方がいいと思うでしょう。
THXは映像に対する品質についても厳しく見ています。海老名スクリーン7は上部マスクにドンピシャに映像を合わせ、下部中央マスクもぴったり合っています。上方から角度をつけた映写になるのとカーブドスクリーンである為特にスクリーン下部左右に余白があります。スクリーンのカーブに合わせ映像も湾曲していますが映像の切れがほぼゼロ。収録されている映像がほぼ100%映写されているのです。製作者の意図した映像を余すことなく全て映し出しているわけですね。映写機の設置位置の問題か左側3分の1のピントがほんの少し甘いですが一般の人はまず気がつかないと思います。


○遮音

THXは空調の音までも規定値があります。空調からのコォォォォ、というわずかな音も映画を楽しむ上では雑音となります。海老名スクリーン7では天井に空調がなくスクリーン左右と両壁上方天井付近に空調があります、(どちらが給排気かは分かりません。)この配置も空調の音のレベルを下げるのに貢献していると思われます。。スクリーン7は他のスクリーンの1階上の階にありますがこれも重要な要素です。ロビーで賑わうお客たちの声は同じ階で入口の近い劇場であれば聞こえてくることがあります。またすぐ隣に別のスクリーンがあるとごおおおおおお、、、という低音が聞こえてくる事があります。低音は完全に遮音するのが難しい為で経験のある人もいるでしょう。海老名スクリーン7はひとつ上の階に独立した空間を用意した事で他のスクリーンからの音漏れやロビーからの声から完全に切り離しています。なかなか機会はないと思いますが本当に人がいないときは恐ろしく静かだと思います。アンプの電源が落ちていれば完全に無音だと思います。


○演出

劇場が暗くなりCM、予告編が流れNO MORE映画泥棒、劇場によっては劇場ロゴやマナーCMをはさんだりしますがせっかく盛り上がってきた気持ちがこの流れの組み方次第で台無しになってしまいます。スターウォーズEP7公開当初は映画泥棒→THX→イオンエンタメの流れでしたがこの流れは違う、と支配人自ら指示を出し映画泥棒→イオンエンタメ→THXの流れに変更しています。これが最高の演出でいよいよ本編が始まるという直前、THXのトレーラーが大音量で流れる。これだけでもう期待感が大きく増します。多分面倒くさい客だと思いますがULTIRA劇場も映画泥棒→ULTIRAトレーラー→イオンエンタメの流れだったのですがアンケート用紙で要望を出した後、映画泥棒→イオンエンタメ→ULTIRAトレーラーに変更してもらえました。イオンシネマさん、最高ですね。もちろんサービス向上のため各映画館は一生懸命頑張っています。要望が全て叶うわけではありませんが思う事があれば積極的にアンケートに書き込むなどするのがいいと思います。


○23年鳴らしこまれた円熟のJBLスピーカー

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THXである以上エッジの修理ばどは行っていると思いますがスピーカー自体はオープン当初からのモデルをずっと使用しているそうです。この鳴らしこまれたスピーカーの柔らかな中域が生む肉声感のあるセリフ、反射面が多い響きやすい空間の中、各座席をまんべんなくカバーしたサラウンドスピーカー群が生み出す雄大なサラウンド音場、出すところは出す、そうでないところは出さない、なおかつ他の音を邪魔しない重低音、これぞまさに海老名の音です。古いスピーカーなので流石にULTIRAのようなシャープさやアタック感はありませんが特殊な劇場構造が作りだす音は23年前の劇場とは思えない性能です。
海老名で映画を見た方であれば誰もが、23年前の劇場と知っている人ならなおさらその凄さを感じる事が出来ると思います。この鳴らしこまれた柔らかな音も捨てがたいのですが、想像してみて下さい。この理想的な音響空間に現行の最新モデル、JBL4732‐Tや8350、サブウーハーも4642Aを追加などした時のその音を。恐らく最新のシネコンが束になってかかって来ても太刀打ちできない恐ろしく高品質な音になるのではないのでしょうか。スピーカーの入れ替えは現状考えてないようですし、鳴らしこまれたスピーカーを手放すのも悩ましいのですがそれだけの凄さがこのスクリーンにはあるわけです。

恐らくまだ見えない所にも様々な仕掛けや秘密のある劇場なのだと思います。イオンシネマ海老名スクリーン7はそれだけの技術が詰め込まれた劇場なのです。次回はイオンシネマ海老名スクリーン7で見たスターウォーズEP7とガールズ&パンツァーについて書きたいと思います。
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