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シネマシティのkicリアルサウンド、kicリアルサウンドアナログって?

2016年04月09日 23:53

kicリアルサウンドはシネマツーに、kicリアルサウンドアナログはシネマワン(旧シネマシティ)に導入されている独自音響規格です。(kicプロセッサーがあるので規格というよりシステムという意味も強いかも知れません。)シネマシティは極上爆音上映によって絶大な人気を誇ります。今回はシネマシティの独自音響について書きたいと思います。


暗闇に浮かぶスクリーン

kicANAROG
kicとは?

東京で初のTHXやkicの前身であるDCSを導入するなど音響に対するこだわりの強いシネマシティ。現シネマワンの後シネマツーを造る際に大きく関わった海藤春樹氏、井出祐昭氏、シネマシティの頭文字からとったものです。

○kicリアルサウンドとは?

まずkicリアルサウンド(以下kic)ですが、シネマシティの音響を超えるクオリティを目標に考えられたのがスタジオの音を現場でそのまま再現できないか?という事です。You Tubeに井出氏の動画があるのでそちらを見ると分かりやすいです。劇場がスクリーンやシネマではなくstudioなのはその為ですね。



○特殊な劇場設計
kicは通常の映画館と大きく異なる点が多いです。音は壁で跳ね返して天井で吸音させます。通常の映画館は室内全体で吸音が基本なので全く異なる方式です。吸音は吸収しやすい高域が主に減衰し、吸音しにくい低域が残りやすいので重たい音になりやすいです。シネプレックスのHDCSがその例ですね。天井での吸音(厳密には座席でも吸音、スクリーン後方も吸音処理はされていますが)のみにすることで耳当たりのよい音を実現しています。室内に入った時点での雰囲気でもその空間的感覚が違う事に気が付けます。

天井に反射させる為に傾斜のついた壁面、天井には吸音材が。

DSC00834_R.jpg

DSC00844_R.jpg

壁面は反射に変化を持たせる為に細かく凹凸があります。メイン以外の劇場は並行な壁面に天井に反射するための板が設置されています。

○スピーカー
次にスピーカーですが、全てシネマ用ではなくPAのスピーカーが使用されています。PAはPublic Address、大衆に音を拡声するといった意味合いで多くの施設などに用いられるスピーカーになります。メーカーはMeyer Sound。このスピーカーがとても強力なスピーカーです。

チケットカウンターにはMeyerのプレートが。

メイヤーサウンドロゴ

井出氏の動画でモニター性の高いスピーカーとありますがこれは録音されている音の再現性を差します。モニター性が高いスピーカーほど忠実な再現が出来るという考えです。
またプレートを見るとSelf-Powerdとあります。通常スピーカーはアンプで信号を増幅し、スピーカーには電源供給しませんがシネマシティで使用されているスピーカーはそれぞれ独立した電源を供給し信号を増幅しています。サラウンドスピーカーもかなり小ぶり、bstudio以降はホームシアターのセンタースピーカー程度の大きさしかありませんがこれ1台でメインスピーカーとして使用出来る程恐ろしく強力なスピーカーなのです。

astudioのメインスピーカー。
メイヤーメイン

bstudio。メインも小さめだがサラウンドがいかに小さいかが分かる。
DSC09262_R.jpg


メインスピーカーはスクリーンによる減衰を回避するために外に出しています。サラウンドスピーカーも設置台数が規模からすると少ないですがスピーカー自体が強力なのと余計な吸音をしていないことで十分な広がりを得る事が出来ています。

音響システムの中核にはkic独自のサウンドプロセッサーがあり、作品により音を変えられる仕組みになっています。このシステムは不明な所が多いですがダビングスタジオのような調整機構をプリセット出来るような物かと思います。


○デザイナーズシアター

シネマツーは外観から劇場内のデザインまで他の映画館とは大きく異なります。外観はガラス張りであえて柱を露出させたロビーに温かい日差しが入り込みます。劇場内も中に浮かんだスクリーン、キャンドルを灯した教会のような雰囲気になっています。

DSC00832_R.jpg

感想前にkicリアルサウンドアナログについて。


○kicリアルサウンドアナログとは?

kicアナログはシネマワンのg、jstudio(旧city2、5)に導入されている規格です。gstudioはTHXの認定を受けていましたが認定を取りやめてしまいました。メインスピーカーを更新してからはまだ見に行っていません。jstudioは以前のシネマシティのJBLサウンドを残しています。

使用しているスピーカーはMeyerです。他の劇場は分かりませんがfstudioメインスピーカーは旧型のモデルの部品をあえて新品に交換した物を使用しています。サラウンドスピーカーはシネマツーど同型のモデルを使用しています。劇場設計は以前の設計のままと思われます。DCS時代のシネマシティを知らないので大きな変更があったかどうかは分かりません。


fstudio。シネマツーとは打って変わって昔ながらの映画館といったスタイル。

fstudio

fstudioのサラウンドスピーカーはastudioと同じモデルが使用されている。

DSC02528_R.jpg

○アナログの意味は?
システムもデジタル、スピーカーもMeyerに変更されています。新しいシステムですが音、音色をあえてアナログ調にしているという事です。シネマツーでは新しい方法とシステムでスタジオクオリティのリアルさを求め、シネマワンではデジタルの先にあるアナログをコンセプトに造られました。深い低音や伸びる高域ではなく、中域にバランスを置いたなだらかで聞きやすい音でシステム的には新しいですがあえて昔の映画館調にしてあるという感じです。


以上がkicとkicアナログにの概要になります。


感想としましてはkicは初めて聞いた時の衝撃はとてつもないものでした。アバターや2012などが公開されていた時で映画館巡りを始めたばかりの時でしたが今までの映画館とは全く違う音だったのを覚えています。当時はフィルム上映がメインでDOLBYのサウンドトレーラーを本編直前に入れるなどの演出もとてもよかったです。天井吸音で響きの多い劇場の中で直進力のある強力なスピーカーで音を飛ばす為、音像が甘いですが音としては明瞭に聞こえます。直進性のあるサブウーハーや異次元な空間表現のサラウンド。まさにkicでなければ聞けない、他には真似できない音でした。
ただ、定位が上にも書いたように甘めな事、シネスコスクリーンの外側にスピーカーがあるのでビスタ作品の場合に左右の定位に違和感を感じる事、PAのスピーカーであるがゆえに音楽表現は優秀ながらシネマスピーカー独自のシネマ感がない為特にセリフに違和感があるという難点があります。この独自性ゆえに作品を多少選ぶ面があるのも弱点と言えますがそれも気にならないくらいの音の凄さがkicにはあります。

kicアナログの方がやや微妙な評価をせざるを得ないでしょうか。フィルム時代のトレーラーを見ても元のスペックが尋常ではないので凄さは確かにあるのですがただでさえ音の飛ぶMeyerのスピーカーで昔ながらのアナログサウンドを表現しているのでkic以上に作品を大きく選びます。ワンピースの劇場版はナロー過ぎて聞くに堪えない音だったのですがインセプションがなかなかハマっていたので当たり外れがよくわからない所があります。作品的に邦画のドラマがブッキングされる事が多い為気になる人は少ないですが作品的に高域の伸びや低音の迫力が必要な作品は合いにくいと思います。


○マイケル・ジャクソンから始まり現在に至る。ライブスタイル上映・極上音響上映・極上爆音上映。

世界中が突然の死に驚愕したマイケル・ジャクソン。直前で中止となったライブ・THIS IS IT。そのドキュメンタリー映画が各地で公開されて大ヒットとなりましたがシネマシティはマイケルのライブを再現するために、その場にマイケルを呼ぶ為に独自に音響を調正して歌っても踊っても叫んでもよしの大音量ライブスタイル上映を行いました。3度に渡り行われたライブスタイルの最後、デジタル版を何とか拝む事が出来ましたがここまでライブの音を表現できるものかと驚きました。PAスピーカーとの相性も良い上に3度の上映でどんどん「リアル」に近付けた音はおそらく世界でファンが見たかったTHIS IS ITでありマイケルがやりたかったTHIS IS ITであったと思います。上映自体は多くは行われなかった為プレミア感やここでしか体感出来ない特別感からも伝説的なものだったと思います。

以降シネマシティは大音量上映や音響映画祭などをはさみながら作品に合わせて調整をかける極上音響上映、重低音を体で体験する極上爆音上映を頻繁に行うようになっていきます。

極上音響はけいおん、レ・ミゼラブルを鑑賞しましたがどちらも音楽要素が強い作品の為非常に楽しめました。特にレ・ミゼラブルは録音が悪く通常の映画館ではもったりとした音でしたが調整後声は伸び、音楽は雄大に広がって同じ作品とは思えない物となっていました。

けいおん

極上音響上映

入り口前看板

レ・ミゼラブル

DSC05571_R.jpg

DSC05573_R.jpg


極上爆音上映はゴジラ、ジュラシックワールド、ガールズ&パンツァー、フューリー、スターウォーズを鑑賞しました。kicだからこそ実現できる強烈な低音と直進性の高いスピーカーだからこそのつり合い。ウーハーも新型に変えてより強力にし、以前のウーハーはbstudioに移動、こちらでも爆音上映が出来るようになりました。

ゴジラ
DSC07668_R.jpg

ガールズ&パンツァー
DSC08869_R.jpg

フューリー
DSC08870_R.jpg

○極上爆音上映の問題点

まだ見に行ってませんが6000万円かけてラインアレイスピーカーを導入したシネマシティ。まだ感想は言えませんがastudioはここ最近全てが爆音上映、bstudioもほぼ爆音上映となっています。爆音上映はMAD MAXでウーハーを入れ替えた事とジュラシックワールドのヒット、ガールズ&パンツァーの爆発的ヒットで一気に話題となりました。特にガールズ&パンツァーは現在でも満席続きで当日券が買えない程の人気です。スターウォーズも抑えてastudioに戻った事も話題になりました。

各方面から低音が凄い!体が震える!などの評価で絶賛される極爆ですが本来のkicとは何だったでしょうか。
スタジオの音をそっくり再現するリアルなサウンド。雄大な空間の広がりと足の速い低音、伸びやかな音楽性。これがkicの本来の凄さであるはずではないでしょうか。

極爆の魅力はもちろん否定はしませんし、ガールズ&パンツァーは確かに迫力あって面白かったですがスターウォーズは正直ひどかったです。スターウォーズは調整などしなくても入っている音がとてもよくkicで普通に再生すれば十分に驚く音になるはずです。絶賛のガールズ&パンツァーでも爆音の影響での破綻もありました。本来音楽の要素も強く細かい環境音や装甲が弾ける音などは通常kicでも素晴らしかったはずです。爆音と合わせ通常上映を数本入れても十分シネマシティの音のすごさが分かったでしょうし別のファンの獲得にもなったのではないでしょうか。


○今後のシネマシティはどうなっていくか。

爆音上映はおそらく人気ですし高い費用をかけてスピーカーを更新する程なので今後も続いていくでしょう。しかし通常の上映も織り交ぜてもらいたいのが正直なところです。極上音響も頻繁に音をいじりすぎるのはどうかと思いますが爆音よりはまだいいかと思えます。マイケルの時のような特別感はすでにないですし爆音中心では作品によってはシネマシティでは見ないかもしれません。cstudioが通常音響のままであれば音のまとまりがよく本来の良さを味わえるのでここは爆音仕様にしないでもらいたいです。頭をからっぽにして見るような作品は極上爆音で是非見てみたいです。でも全てが爆音でいいというわけではない、という事をシネマシティも映画を見る方も考えてもらいたいところですね。
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コメント

  1. 柚木 | URL | -

    kicサウンドは、ここがオープンした時に宇宙戦争で体験しました。
    音質の素晴らしさに感動しました。特に高音が素晴らしかったです。
    ここ最近の爆音上映はまだ未経験です。
    私はシネプレックスのHDCSは体験済ですが、HDCSと比べてどっちが凄いでしょうか?
    重複すみません。

  2. ゴマ | URL | -

    柚木さん、コメントありがとうございます。シネマツーは劇場構造とスピーカーの特性から仰るとおり通常の映画館とは全く違う音楽表現、高域の伸びがありますね。

    極上爆音とHDCSのどちらが凄いかについてですが、HDCS記事の内容から察するに低音の量感の事かと思います。(突き上げるような中域や刺さるような高域を指して凄いという人もいます。)断然極上爆音上映でしょう。スターウォーズは正直ひどかったですがゴジラやジュラシックワールド、ガールズ&パンツァーは強烈な、内蔵にズシンと来るような直進力ある低音です。分かりやすいですし一般受けするでしょうが正直やり過ぎとも思います。

    HDCSはここ最近劣化しているように思いますが導入しているシステムはかなり強力なので低音の方向性は違いますが量なら同等以上の音量が出せるでしょう。となりの劇場への音漏れなどにより限界はあるでしょうが昔のHDCSの音くらいには復活してほしいですね。

  3. 通りすがりの映画研究者 | URL | -

    「爆音上映」は、映画評論家である樋口泰人の率いるboid.の登録商標です。
    立川は、「爆音上映」ではありません。
    明確な商標違反であり、記事の訂正と謝罪を求めます。

  4. ゴマ | URL | -

    コメントありがとうございます。

    樋口氏の吉祥寺バウスシアター・爆音上映及び爆音映画祭については存じております。当記事は立川のシネマシティにて上映しております「極上爆音上映」通称「極爆」について触れております。

    「爆音上映」(バクオンジョーエー・バクオン)の商標については以下のようになっております。(結論部分のみ抜粋しております)

    本願商標は、その指定役務中、「映画の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営」を取り扱う業界において、これに接する需要者が、「大音響による上映方法」又は「通常よりも音響効果に力を入れた上映方法」という役務の質表示であるとの認識を上回って、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものに至ったとまではいえないものである。
    してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。
    以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
    よって、結論のとおり審決する。

    全文は商標審決データベースよりご確認ください。→http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1326015.html

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