FC2ブログ

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

シネプレックスのHDCSって?

2016年03月27日 22:21

HDCSはシネプレックス幕張で初導入となったシネプレックス独自の音響規格です。

DSC06984_R.jpg

HDCSは幕張での導入により多くの信者とも呼べるファンを生み出したオリジナルの規格です。今回はHDCSがどのようなものか書きたいと思います。
世界初、音響が想像を超える。シネプレックス独自のエキサイティングサウンドの追求。

シネプレ水戸 HDCS

日本初のTHX認定映画館となるワーナーマイカルシネマズ海老名・東岸和田が生まれ、シネコンの基本形が確立。THXが品質の高い映画館の代名詞となり各劇場もTHXの認証を多く得ていました。

その中でシネプレックス(当時のヘラルドシネプレックス)がTHXにとらわれず独自の音響を提供することを考えて生まれたのがHDCS(ヘラルド・ダイナミック・クリアー・サウンド)です。シネプレックス幕張のシネマ9に導入されました。


シネマ9

DSC06980_R.jpg


HDCSの定義としては

○高性能ステージスピーカーを使用

○大口径サラウンドスピーカーを使用

○サブウーハーを通常より多く設置

○楔型吸音材による背面吸音

となります。

まず高性能ステージスピーカーですがエレクトロボイス社(以下EV)のVariplexXLほかX-Arrayとシネマ用最高位のスピーカーや大規模コンサート用スピーカーをフロントに使用しています。地元水戸のシネマ6ではDYNACORD X-1・B-6を使用した5wayスピーカーを使用しています。大出力に耐える強力なスピーカーが前提ですね。

次が大口径サラウンドスピーカー。一般的な映画館では小型のサラウンドスピーカーが壁に設置されています。

シネプレックスの通常館

DSC04829_R.jpg

対するHDCSは幕張ではSx500+という38センチもの口径をもつサラウンドスピーカーを使用。水戸のシネマ6番などになるとメインスピーカーとして利用されるVariplexやVariplexMが使用されています。これは映画内容的にサラウンドチャンネルに大きな低域信号が入ることがサウンドデザインの進化により考えられ、従来のサラウンドスピーカーでは十分に再生出来なかった音も迫力のサウンドで再現する為に導入されたものです。

幕張のサラウンドスピーカー

DSC06982_R.jpg

わかばシネマ1のサラウンドスピーカー

DSC08449_R.jpg


サブウーハーを通常より多く設置。より迫力のある低音再生のため2種類のサブウーハーを合計6台、それをAmcron社やEV社の強力なアンプで駆動します。エキサイティングサウンドや大型サラウンドスピーカー、増設したウーハーなど低域を重視した迫力の音を意識しているのがよくわかりますね。



最後に楔型吸音材による背面吸音。これはフロントに設置された多数のウーハーから出力された低音を受け止める為に設置されています。この楔型吸音材は無響室というスピーカーの測定はもちろん車のエンジンの音の測定などでも使用されている強力な吸音材です。通常の映画館のグラスウール吸音(楔型もグラスウールではあります)とは比べ物にならない吸音能力を持っています。

幕張の背面。
DSC01986_R.jpg


これらを合わせた規格がHDCSになります。

他の劇場規格に比べて見た目での違いが非常によくわかりますね。シネプレックスが仕掛けたこのHDCSは当初THXを超える絶大な人気を誇り、見たい映画があれば幕張まで遠征する人が現れるほどになりました。シネプレックス幕張はメインのシネマ10にTHXの認証も得ていた為、THXとHDCSが両方体験出来る劇場としてとてつもない人気でした。日本(ポスター通りならば世界初?)でTHXではない初めての迫力のあるオリジナル音響、これによりシネプレックス=迫力のサウンドという認識も広まります。これ以降シネプレックス他、多くの映画館がTHX認定を取得することはなくなっていき各映画館の特色が色濃く出るオリジナル規格や音響が台頭していくことになります。


HDCSの音ですが、低音にバランスをおいた重みのあるサウンドです。急激に周波数が下がるような音ではその音波で劇場全体を震わせるような低音でスケールのおおきなアクション作品などであればよりその迫力を強調して再生します。シネプレックス水戸のシネマ6でポセイドンを見たのがHDCSの初体験だったのを今でもよく覚えています。ポセイドン号が大波を受ける時、右側から水の壁が迫るのを肌で感じ「こんな音が体験出来るのか!」と感動しました。以前から映画館音響に興味はありましたが、HDCSを体験したことが県外の様々な映画館を旅するきっかけとなったのです。

迫力ある音響を体験出来るHDCSですが、反面大きな弱点も持ち合わせています。

○大口径サラウンドスピーカーでは自然な拡散音場を表現しにくい。
サラウンドスピーカーは本来小型のスピーカーを使用します。一部劇場(ULTIRAなど)で大型のスピーカーを使用していますがフロントのマッチングや広いエリアへの拡散が可能なスピーカーだったりします。これにより自然な広がりや奥行き感が出てスクリーンと自然に繋がる音場が生まれるのですが、HDCSはメインスピーカーに使用される直進性の高いスピーカーでより前に音を出すようなモデルが多く使用されています。これによりサラウンドの音が迫力がある、横や後ろの音がはっきり聞こえるという意見もありますが、ドラマ系の静かな映画ではサラウンドに回る柔らかな音楽や遠くから聞こえる人の呼び掛けなども強調されて聞こえすぎてしまう傾向があります。

○低音は量を重視、キレは今一つ。
増設されたウーハーから強調される低音はスクリーンの面全体から圧を感じるような強力な低音です。2012のような低音がたっぷり収録されている作品は空気の震えを肌で感じるでしょう。こういった持続系の低音の迫力はかなりの量感がありますが相手を殴る、ドアを閉める、エンディングのベース音などがサブウーハーに多く入っていると量がある分制動感に欠けます。ドンッ!ドンッ!と鳴らしたい低音もドオッ!ドオッ!となるというと分かりやすいでしょうか。

○背面の楔型吸音材による影響。
これほどの低音を余計に劇場内に反響させない為に設置されている楔型吸音材ですが、あれだけの低音を制動させるという事は当然他のスピーカーから出る高域や中域にも影響を与えます。後方がほぼ完全な無反射の為人のセリフも前に出にくく、スクリーンに張り付いたような定位になります。高域成分もかなり吸収される為、全体的なバランスが吸音しにくい中低域から低域よりになり、重たい音になります。これにより女性の声も重い、音楽が伸びにくいなどの弊害も出ます。クリアーサウンドとは書いてあっても低音の量に対してはクリア、低音量に対して制動を効かせている意味でのクリアという印象でポスターにあるような透き通るような繊細な音響とは言いにくいでしょう。


THXやULTIRAが正当派と言えるのはこの辺りの誇張がないという点が大きいでしょう。製作者の意図する音響より低音を重視したが為の破綻がどこかしらで発生しているという事です。とは言ってもHDCSもベースとしてはTHXから独自進化させたものらしいです。


それでも魅力のあるHDCSの音とは。

上記の弱点は製作者の意図を忠実に再現するTHXの考えとは逆のものですが、それを補うだけの迫力あるまさにエキサイティングサウンドなわけです。恋愛ドラマをHDCSで見たいかと聞かれたら流石に御免ですが、2012やマッドマックスのような頭空っぽにして見るような作品は相当の迫力ある音を楽しめます。機材もかなりの物量を持ち、相当の大音量にも余裕で対応出来る。個人的にはIMAX以上の迫力を出すことも出来ますし、低音量だけならシネマシティの爆音上映に匹敵する低音も出せるはずです。そもそもがエキサイティングサウンドのみであれば上記の弱点はむしろ長所になりえます。


○ヘラルドシネプレックスから角川シネプレックス、デジタル化を経てユナイテッドシネマ参傘下へ。

親会社の称号がヘラルドから角川に代わり、HDCSのHもヘラルドの読みがながつかなくなりました。水戸がオープンして1年後です。HDCSトレーラーもありましたが表記にヘラルドがあったためか自分は1回しか見たことがありません。
デジタルシネマに移行し、設備更新した際からHDCSの音に変化が見られます。以前ほどの迫力がなくなってくるのです。ユナイテッドシネマグループの傘下に入るとシネプレックスは完全に以前の個性が見られなくなります。公式サイトからしてもほぼ一般の目には触れませんし、完全におまけ程度の扱いです。

現状数館回った感想としてはHDCS館でありながら通常のチューニングをしたような至って普通の音という感じです。最も差は多少なりともあり、HDCS導入館としてはかなりの力をいれたシネプレックスわかばではHDCSの名残を感じさせるものでした。

HDCS館で力を入れているわかばではこんなプレートが

DSC08461_R.jpg

HDCS館は迫力あるチューニングだからこそその価値が輝く劇場で通常の音を出しても前述した弱点がある為にいい印象にはなりません。吸収したユナイテッドシネマとはそもそもがスタイルの異なる映画館の為、シネプレックスはもっと別の方向性で運用した方がいいと思えます。ガルパン効果で音響に対する関心が高まっている今がチャンスだと思います。昔のHDCSの音ならばそれだけで人気が出たでしょう。
しかし重要な問題もありEV社はすでにシネマ用スピーカー事業からは撤退。X-Arrayなどもラインナップから消えてしまいました。今後の新規導入はまずないであろう事、現行機種破損時の修理や交換などのサポートはいつまでかなど不安が残ります。

個人的な思い入れが強いHDCSですが、物量ならULTIRAにも匹敵するほどなので今後の運営に期待したいです。願わくばポセイドンの時に感じたあの迫力をもう一度・・・
スポンサーサイト


コメント

  1. 柚木 | URL | -

    立川シネマシティ

    レポートありがとうございます。
    立川シネマシティツーの極上爆音とどっちが凄いですか?スターウォーズEP7を立川の爆音上映で観ました。凄かったです。幕張や新座のHDCSはロードオブザリング以外、12年くらい行ってないです。未だに大重低音は健在でしょうか?
    立川シネマシティの記事です。
    http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/355/355161/
    http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1603/26/news042.html

  2. 柚木 | URL | -

    シネプレ幕張のHDSCの思い出
    ①2002年のスターウォーズエピソード2のサイズミックチャージのシーン
    ②2004年のロードオブザリングの戦闘シーン
    このふたつは一生忘れられません。物凄い大重低音が体中に響きました。
    ただ、マトリックスリローデッドと、オペラ座の怪人は、六本木スクリーン7の方が良い音響でした。

    シネプレわかばのHDCS
    ①スパイダーマン2の核融合のシーン
    このシーンは劇場がぶっ壊れるほどの大重低音。映画経験の中でダントツナンバーワンの大重低音。
    私は音楽イベントが好きなので、レイヴパーティーやフジロックにも行きますが、同等の大重低音でした。
    ただ、翌年のスパイダーマン3の時は大したことがなかったです。

    立川シネマシティの爆音祭の時と、比べたらどうなんでしょうか?

  3. ゴマ | URL | -

    柚木さん、コメントありがとうございます。コメントにある作品の時期がHDCSの勢いが最もあった時期なのでとても迫力があったであろうと思います。わかばはセカンド以下のHDCSにも幕張と同じサラウンドスピーカーを使用したり書く劇場で使用しているメインスピーカーが違うなどかなり力を入れています。新座は残念ながらまだ訪問しておりません。

    HDCSでも悪く聞こえるのは入っている音に低音がそれほど含まれていない事やサウンドデザインの相性もあります。

    デジタルシネマ導入からユナイテッドシネマ傘下に入ったあたりからHDCSは各サイト極端に迫力はなくなったと思います。わかばはまだ名残はありますがユナイテッドシネマの指示なのかは分かりませんが意図的にそういう音にしている可能性、デジタル導入時に音響調整をしていない可能性、音質の劣化に気付いていない可能性があります。音響調整にはかなりの費用がかかるのでおいそれと出来るものではないですがアンケートやネットのメールフォームからHDCSの立て直しについて文章を送った事もあります。現在音響の関心が高まっているので何かしら動きがあって欲しいですね。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://ibatan1.blog90.fc2.com/tb.php/196-227baf87
この記事へのトラックバック



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。